Jotaro’s TGO Challenge 2019 : Part 5 – Day6-7

Jotaro’s TGO Challenge 2019 : Part 5 – Day6-7

ジョータローの TGO チャレンジ 2019 : Part 5 − 6〜7日目

515日:Day 6

「スナックシャック」に隣接した「エリット湖 B&B」のベッドで快適な一夜を過ごし、5日ぶりにシャワーを浴びてさっぱりした。

朝起きると、窓の外に見える芝生の広場には、他のTGOチャレンジャーのものと見られる3−4張のテントがあった。

朝食を摂りに「スナックシャック」の食堂に向かうと、すでに何名かのTGOチャレンジャーが席についていた。3名のチャレンジャーに代わる代わる挨拶し、日本から来たことや、日本人は初参加らしいことが話題になり、すぐに打ち解けた。ここまで、どこのルートを通ってきたとか、ここからどのルートで行くとか、そういった内容の情報を交換する。

とりわけ、その中の一人は、ユーモアのセンスがあり面白い奴だった。朝食を終えると、お互いの安全と健闘を祈り、それぞれ出発準備に取り掛かった。彼とはこの後、ルート上で何度か出会うこととなり、とても親しくなった。(後にケンブリッジの自宅を訪ねることになる。)

リサプライの中には、食料と靴下、予備のバッテリーが入っている。食料は、思ったより消費しなかったのと予備があったので、次のリサプライ地点までの食料とバッテリー、着替えなどを入れ替えて、余った分を再度梱包し直して、ゴール地点のホテルに送ることにした。

今日も、良い天気だ。一体どうなってるんだろう?6日目の朝を迎えても、雨がほとんど降っていない。とても日差しが強い。

午前8時、6日目をスタートする。ダルウィニーはケアンゴームズ国立公園の西の外れにあり、ここからは国立公園の中に入っていくことになる。いわば、今回のTGOチャレンジの全ルートのハイライトともいえるパートなのだ。歩き始めてすぐに、トレイルからはダルウィニー蒸溜所の美しい佇まいが見えた。

「Meal Chuaich」という山の麓で、一人のハイカーとすれ違った。TGOチャレンジャーかと思いきや、違うという。彼は、TGOとは逆ルート、すなわちスコットランド東岸から西岸へ歩いている最中だという。他に地元のトレイルランナー一人とすれ違った。それ以外には全く人と出会わなかった。

500mほど直登して「Meal Chuaich」のピークに辿り着いた。ここからは、今まで歩いてきたエリアとこれから歩くエリアがよく見渡せた。振り返ると、Camp 4の「ベン・アルダー」が遙か彼方に見える。前方には、今後数日間にわたり歩く予定のケアンゴームズ国立公園の核心部にある冠雪した山々が遙か遠くに見える。

「スナックシャック」で朝食。スコットランドらしく、ハギスが並ぶ。

 

トレイルから見えるダルウィニー蒸溜所の美しい佇まい

 

日差しの強さに思わずBuffで顔を覆う。日焼け止めが必要とは全く考えなかった。

 

正面に見える、「Meal Chuaich」

 

遙か彼方に見える、Camp 4の「ベン・アルダー」のある山域

 

冠雪した山々並ぶ、ケアンゴームズの核心部

 

「Meal Chuaich」の下りは、「ボグス」ではないが、かなり足元が悪いエリアを通過しなければならなかった。実は、この先に今回のTGOのルートで最も過酷な「ボグス」を経験することになる。

山を下りきると、川に出た。渓流なのだが、こちらの方の川は茶色く濁ったように見える川が多い。彼らは「ピーティー」な川と呼ぶ。土壌の成分が溶け込んでいて、フィルターでも色は完全には取れない。

このあたりから、地図では波線が消失し、オフトレイルとなる。地形図的にそれほど起伏があったり難所でないにもかかわらず、オフトレイルとなるという事は、それなりの理由があるのだ。

そしてそれは始まった。見渡す限りの平原なのだが「ボグス」だ。この先8kmに渡ってこの湿地帯を縦断しなければならない。足元の起伏と泥や深みに注意しながら一歩一歩、歩みを進める。これは、とてつもなく疲れる行程だ。地形図的には大きな起伏がないので容易に見えるが、「ボグス」と「急登」どちらを選ぶか?と聞かれたら、どんな急登でも足元がしっかりしていればそちらを選ぶだろう。ここで、すっかり時間を費やしてしまった。

このエリアでは、全く他のハイカーやTGOチャレンジャーに遭遇しなかったのだが、この難所が原因なのかということが後に理解できた。

なんとかこの「ボグス」を抜け、ランドローバー・ロードに出て、キャンプ適地を探し当てた時にはすでに午後9時だった。川沿いにテントを張り、食事をとったのち、疲労のため死んだように眠りについた。

今日の移動距離は約24km。24kmの移動に10時間以上も費やしている。「ボグス」がいかに厄介かよくわかった。

 

トゥロウミ(Tromie)川

 

延々とつづく「ボグス」(湿地帯)の平原

 

「ボグス」(湿地帯)の洗礼を受ける

 

Camp 6

 


516日:Day 7

7日目の朝、今日も快晴だ。もはや、ここはスコットランドではなく、カリフォルニアにいるような気分だ。

コーヒーを飲み、軽い食事をし、身支度をして出発する。

しばらくランドローバー・ロードの道を行き峠を越えると、大きな川が見えてきた。「リバー・フェシエ」だ。

ここはグレン(渓谷)・フェシエと呼ばれ、ケアンゴームス国立公園でも有名なエリアだ。この場所には、数年前まで橋がかかっていたが、大雨で流されてしまったらしい。それ以来橋がない。今年は雨が少なく水量もそれほど多くないので渡渉できそうだ。靴と靴下を脱いで渡る。この好天にもかかわらず、思ったよりも水が冷たい。

リバー・フェシエを後に、ここからは核心部の山岳地域目指して、まずはランドローバー・ロードを歩き標高を上げて行く。

ランドローバーロードを行く

 

リバー・フェシエ

 

リバー・フェシエの渡渉ポイント

 

ケアンゴームズの山岳エリアに向けて標高を上げて行く

 

標高が800〜900mになると、見晴らしの良い広大な平原のようなエリアに出た。正面には昨日の小高いピークから見えていた冠雪した山々が見える。

 

TGOのレギュレーションでは、標高600m以上の山岳地域を行くルートに関しては、悪天候時の迂回路の設定を義務付けられている。場合によっては、かなり遠回りの迂回路を設定しなければならず、厄介だ。日本では、600mの標高は低山の領域だが、スコットランドの高地では悪天候時には危険な山岳地帯として認識されている。

 

しばらく行くと、ランドローバーロードは終わり、オフトレイルとなる。またしても「ボグス」だ。平原だと思っていたが、いったん谷筋に降りて登り返さないといけない。おそらく、斜面の取り付きまでこの「ボグス」(湿地帯)が続きそうだ。やれやれ。

小さな湖、Loch nan Cnapan(読み方がわからないw)を通り過ぎると、最後にそこそこの傾斜がある斜面に取り付いた。標高にして300mくらいの登りなのだが、湿地帯を抜けるのに消耗していて、結構キツイ。

水の流れに沿って、オフトレイルの斜面も直登して行く。

 

ケアンゴームズの核心部が見えてきた

 

またしても「ボグス」

 

Loch nan Cnapan(読み方がわからないw)

 

傾斜が次第にきつくなる。水の流れに沿って直登する。

 

ふと振り返ると、通過してきたボグスや湖を含む荒野が一望できた。素晴らしいビューだ。

さらに斜面も登りきると眼下に切れ落ちた谷と、連なるリッジラインが姿を現した。思わず「おおー!」っと声が出た。

このエリアは「ラリグ・グルー」と呼ばれる谷を中心とした、ケアンゴームズの核心部だ。

標高はたかだか1,100〜1,200mだが、高度感のある切れ落ちた谷、岩肌が剥き出したリッジライン、すり鉢状に山の中腹に鎮座する湖など、アルパインな要素が満載の素晴らしいビューがここにはある。

しばしこの景色には見惚れてしまう。

ここからはしばらく「ラリグ・グルー」の渓谷を眼下に見ながら、リッジラインに沿って歩いて行く。このような雄大な景色を見ていると、キツイ斜面の登りや、過酷な「ボグス」で疲れたことも全て吹き飛んでしまう。人間というものは、メンタルがフィジカルに及ぼす影響は計り知れないなと、しみじみと思う。

 

斜面から振り返ると、通り過ぎてきた荒野が眼下に広がる

 

通称エンジェル・ピーク

 

エンジェル・ピークとラリグ・グルー渓谷

 

英国で4番目に高い「Braeriach」のピーク、1,296m

 

ここは明らかに他のエリアとは一線を画する場所だ。まさに、この国立公園の核心部といって良いだろう。

このような快晴の日の、超一級のポイントにもかかわらず、3人のハイカーとずれ違ったのみだ。

北アルプスの双六岳の広大な稜線を彷彿とさせるだだっ広い稜線を歩いて行く。

稜線を下り、ラリグ・グルーの谷の方に降りて行くと強風が吹いていた。どれくらい強風かというと、立っているのがやっとという感じだ。

予定では、この辺りで幕営適地を探すことになっている。ここも風の谷だ。どこか風を遮る場所を探さないとテントを出した瞬間に吹っ飛んでいってしまいそうだった。谷の周辺部を小一時間かけて探索し、ちょうど岩棚の下に風を避けられる川沿いの良い場所を見つけた。

本日の移動距離、26km

 

日本の北アルプスの双六岳の稜線を彷彿とさせるだだっ広い稜線

 

リグ・グルー渓谷でキャンプ 7

 

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