ジョータローの TGO チャレンジ 2019 : Part 6 − 8〜9日目

517日:Day 8

強風の「ラリグ・グルー」で一夜を明かした。朝には風は止んでいた。今朝は幾分雲が出ているが、天気はそれほど悪くはない。これで8日間、ほぼ雨なしでここまできている。スコットランドで、一週間以上雨が降らないなんてことが今までにあったのだろうか?そんなことを考えながら準備をしていると、向こうの方から一人のハイカーがやってきた。

「おはよう!TGOチャレンジャーですか?」と彼が聞いた。「そうです、昨日はここで一夜を明かしました。」と答えた。自分よりかなり年配のハイカーはTGOチャレンジャーで、もう複数回踏破しているという。「じゃぁ、気をつけて!また。モントローズ(TGOの最終ゴール地点)で会いましょう。」と言って、彼は昨日自分が降りてきた尾根を登って行くという。

今日は、この谷を挟んで昨日歩いてきた反対側の山の稜線へと、スイッチバックのトレイルを登って行く。

こちら側の稜線のほうが昨日歩いた反対側より岩ばっていてガレている。トレイルから見ると、昨日歩いてきた谷の反対側のトレイルと「ラリグ・グルー」の渓谷のビューが素晴らしい。

「ラリグ・グルー」で8日目の朝を迎える

一夜を明かした谷を後に、昨日歩いてきたのとは反対側の稜線に取り付く。

昨日歩いてきた稜線を谷の反対側に見ながら高度を上げて行く。

昨日歩いたトレイルが谷の反対側の稜線からよく見える。

岩の多いガレたトレイル

「ラリグ・グルー」渓谷を背後に岩稜帯のトレイルを行く

キャンプ地から8kmほど移動し、800mほど標高を上げると、英国本土で9番目の標高の「ベン・マクデュイ(Ben Macdui)」のピークに辿り着いた。

ここは、「ラリグ・グルー」渓谷と、谷を挟んだ対岸の稜線上のビューが素晴らしい。

「ベン・マクデュイ(Ben Macdui)」のピークにて

「ベン・マクデュイ(Ben Macdui)」のピークの標識。360度ビューだ。

「ベン・マクデュイ(Ben Macdui)」のピークを後に、標高を下げていく。所々に雪渓が残っているがほぼフラットなので容易にやり過ごすことができた。しばらくいくと、エチャンチャン湖(Loch Etchanchan)が見えてきた。ここはキャンプ地の有力な候補だが、少々時間が早すぎた。ここまで、予定よりも早く辿り着いているのと、素晴らしい場所なので、停滞してまったり過ごすことも考えたが、先に進むことにした。

しばらくいくと、後ろから追いついてきたバイクパッカーの連中と出会った。自分もバイクパッキングをやるので、そんな話をしながらルートや装備についてしばらく話し込んだ。スコットランドのハイランドはどうやらバイクパッキングにも良いらしい。

Loch Etchanchan

エチャンチャン湖(Loch Etchanchan)

エチャンチャン湖を後に、標高を下げていく

陽気なバイクパッカーに出会った

峠をすっかり降り標高を下げると、フラットな川沿いのランドローバーロードにでた。デリー・バーンと呼ばれる川沿いには、樹林帯が広がっている。

途中、橋を渡ろうとするとTGO事務局の注意書きの看板があり、この先の崩落して通行出来ないため、別のトレイルを行けという指示だった。仕方ないので、並行して走っている、幾分標高の高いトレイルまで登り返して進んだ。

デリー・バーンと呼ばれる川沿いの道を行く

デリーバーンは清流だ

橋が通行不可の為、別のルートを取れという指示

デリーバーン沿いの印象的なパインツリー

しばらく歩くと「デリー・ロッジ」にたどり着いた。ここは様々なトレイルが出会う要衝で、すでに多くのTGOチャレンジャーがテントを張っていた。一つの広場が一杯だったので、川沿いのフラットな良い場所を見つけてテントを設営した。

本日の移動距離、20km

518日:Day 9

9日目の未明から雨が降り出した。そもそもスコットランドで、8日間全く雨に降られなかったのが奇跡なのだ。そして雨はそれほど強くない。

今回、初めてレインジャケットを着て9日目をスタートさせた。

ここはデリー・ロッジとは言っても、何か一般人が使える施設ではなく、19世紀に貴族が狩猟のために建てた狩猟小屋の跡地。現在はスコットランド・ナショナルトラストによって管理されている遺産だ。

さて、一路デリー・ロッジを後にして、グレン・ルイ渓谷に沿って南下する。しばらく行くと、舗装された道路に出た。この道路を横切り、マー・ロッジの敷地に入る。このマー・ロッジも貴族の別荘のようなもので、デリー・ロッジ同様にスコットランド・ナショナルトラストによって管理されている。このマー・ロッジでは、TGOチャレンジャー向けに管理棟でコーヒーのサービスをしているという情報があったので、立ち寄ってみた。朝から冷たい雨が降っていたので、冷えた体には暖かいコーヒーはありがたかった。ここには、他の多くのTGOチャレンジャーが集まってきており、久しぶりにいろいろな人と代わる代わる挨拶したり、話したり楽しいひと時を過ごせた。そこで、Z-Packsの創業者であるジョー・バレスコ氏に再会した。

彼とはTGOのスタート前にグラスゴーの駅で出会っていたので、すぐに打ち解け、これまでのルートやこの先のルート、そのた色々な話をし、また情報交換をした。彼は、他のZ-Packsの仲間たちと一緒にスタートしたが、彼のペースが早すぎてついて来れなかったらしい。 この先のブリーマーで休息日を取って他の仲間と合流するらしい。自分も、ブリーマーにリサプライを送ってあり、また、ここまでの到達が少し予定より早かったので、レストしようと思っていたのだった。

すっかり休んで、他のチャレンジャーとも顔見知りになり、この先の無事を祈って別れを告げた。

9日目にして初めての雨

マー・ロッジ( Mar Lodge )

マー・ロッジの管理棟では、TGOに協賛して温かい飲み物が振る舞われていた。

Z-Packsのジョーと再会

マー・ロッジを後にし、20世紀前半に架けられたビクトリア・ブリッジを渡る。橋を渡ると、舗装された道路に出た。予定では小高い丘の上に上がるトレイルを行こうと思っていたが、雨が降っているのでそういう気分にもなれず、そのまま舗装路を今日の目的地のブリーマーまでのんびり歩くことにした。

ビクトリア・ブリッジ

ブリーマーではTGOに協賛しているレストランがある

一日に20-30kmに及ぶ距離を歩いているとブリスター、いわゆる「靴づれ」が起こることがある。自分的には、滅多に起こらないのだが、湿地帯や雨で足がいわゆる「ソフト・フット」状態、つまりふやけて柔らかくなった状態では水膨れが起こりやすい。この水膨れができて皮が剥けると歩くのに支障をきたすほど痛くなることがある。初日に、TGOを何度も経験している方のアドバイスで、「TGOで最も多いリタイヤの原因はブリスターよ」という言葉を思い出した。舗装路を歩いていると、足の裏に違和感を感じたので大きめのバンドエイドを張って用心した。おそらく、そのまま放っておくと、大きな水膨れになり皮がむけて痛い思いをしたことだろう。先に手を打っておいて良かった。

舗装路を8kmほど歩くとブリーマー村にたどり着いた。ここは歴史のある村でケアンゴームズ国立公園のほぼ中心にある観光の要衝で、美しい村だ。5月はスコットランドでは年間を通じて気候が最も良いと言われている月なので、観光の人々も多く見受けられる。ここまで、順調に来ており、実際の予定よりも早くここに到着した為、ゆっくりと休息することにした。

村に着くとまず届いているはずのリサプライをコンビニエンスストアが兼務しているポストオフィスに取りに行く。ここには、TGOチャレンジャーのためにキャンプ地も用意されているが、今朝から雨も降り続いていてせっかく街にいるのだからホテルにステイすることにした。立ち寄った、フィッシュアンドチップスの店でまたジョーに出会った。彼もここではAirbnbで部屋を確保しているという。

早速、ホテルのバーに繰り出すと、多くのTGOチャレンジャーで賑わっていて驚いた。ここは、TGOチャレンジャー達にとっても、ルート上の要衝なのだ。すでに顔馴染みも数名いて、一緒にビールを飲んだり食事をしたり、楽しいひと時を過ごすことができた。世がふけてからも、別のホテルのバーで飲んでるからおいでよと連絡が入ったので行ってみると、ここでもTGOチャレンジャー達がビールやウイスキーを飲んで和んでいた。ここでは、明日通る予定のルートにあるロッホナガーという山の名を冠した「ロイヤル・ロッホナガー 12年」を頂いた。

本日の移動距離、14km

ブリーマーで最も由緒あるホテル、ファイフ・アームズ。かのチャールズ皇太子も改修後のリオープンにも駆けつけたとか。

ファイフ・アームズのメイン・バー。さすがスコッチのお膝元。ずらりと著名なスコッチウイスキがー並ぶ。

地元の山「ロッホナガー」の名を冠した「ロイヤル・ロッホナガー 12年」を他のチャレンジャーとともに楽しむ。

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